糖尿病には、「1型糖尿病」「2型糖尿病」「遺伝子異常による糖尿病」「妊娠糖尿病」とおおまかに4種類あります。
1型糖尿病の原因
1型糖尿病は、インスリンを作る膵臓(すいぞう)のβ(ベータ)細胞が破壊され、インスリンがまったく分泌されないかまたはほとんど分泌されないために発症する糖尿病です。
その原因は「自己免疫異常」と言われ、10代のうちに始まることが多く、以前は「小児糖尿病」や「インスリン依存型糖尿病」と呼ばれていました。
インスリンを作っている膵臓のランゲルハンス島β細胞を体を守る免疫が外敵と間違って破壊してしまうのですが、その原因ははっきりわかっていません。
最近になって原因の1つとして、あるウイルスの感染が関与しているようだという発表がされました。
日本での1型糖尿病の年間発症率は、10万人あたり1~2名ですが、北欧やイタリアの一地方など発症率の高いところもあります。
2型糖尿病の原因
糖尿病の98%以上を占めるのが「2型糖尿病」です。
直接の原因は、膵臓からのインスリンの分泌が少なくなったり、働きが悪くなるために血液中のブドウ糖(血糖)が正常より多くなることで発症する病気ですが、その原因としては以下のような事が考えらています。
食べ過ぎ
血液中のブドウ糖の量は「血糖値」として計測されますが、その血糖値は主として食事をすることで上がり、食事の量が多いほど血糖値は高くなり、高い状態が長く続きます。
日ごろの食べ過ぎが長く継続することで、次第にインスリンの作用不足が引き起こされてくると考えられています。
飲み過ぎ
ビールや日本酒、ウィスキーやワインなどお好きな方は多いと思いますが、アルコールは血糖値を上げやすくインスリンの働きや分泌を阻害するものです。
適量であれば問題ない場合が多いのですが、飲み過ぎると肥満の原因にもなります。
一定量を超えたアルコールを飲み続けている人は食べ過ぎと同じく、次第にインスリンの作用不足が引き起こされてくると考えられています。
肥満
肥満は、前記の食べ過ぎや飲み過ぎとの関係が強いのですが、肥満の程度が高い人ほど糖尿病にかかりやすいことは証明されています。
肥満体になるとインスリンの感受性が低下するので血糖値が上昇しやすくなり、長く継続することでインスリンの作用不足が引き起こされてきます。
運動不足
運動不足はブドウ糖をエネルギーに変える筋肉量が減りますし、前記の肥満の原因になります。
筋肉量が減ると何もしない時でも身体が必要とするエネルギー量「基礎代謝」が減少してしまい、インスリンの働きが悪くなり血糖値が下がりにくくなってしまいます。
加齢
糖尿病を発症する人は40歳を超えると増えはじめ、60歳以上では3人に1人の高い割合で糖尿病の発症のリスクが高まります。
年齢を重ねると、すい臓の働きが弱くなりインスリンの分泌量が減り、高血糖になりやすくなるためです。
ストレス
糖尿病の3大原因と言われているのが肥満と運動不足、そして「ストレス」です。
ストレスを感じるとインスリンの分泌や感受性が低下し血糖のコントロールを乱す大きな原因となります。
一時的なストレスであれば、高くなった血糖は正常値に戻りますが、慢性的にストレスを感じていると血糖値は高いままになり、糖尿病発症の引き金になります。
また、ストレスのためにアルコールを飲み過ぎたり、食べ過ぎたりすることも前記の通り糖尿病の原因となります。
遺伝
家族や親せきなどの血縁者に糖尿病の人がいる場合、糖尿病の家族歴がない人に比べて糖尿病になりやすいといわれています。
しかし、遺伝するのは糖尿病そのものではなく「糖尿病になりやすい体質」であり、この体質を持った人が前項までの食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足や肥満、加齢やストレスなど様々な環境因子が加わってはじめて糖尿病が発症すると考えられています。
遺伝子異常による糖尿病の原因
遺伝子異常で起こる糖尿病は、膵臓β細胞機能に関わる遺伝子異常とインスリン作用の伝達機構に関わる遺伝子異常が原因とされています。
また、膵臓外分泌疾患や内分泌疾患、肝疾患や薬剤・化学物質によるもの、感染症や免疫機序によるまれな病態などが原因で起こる糖尿病があります。
妊娠糖尿病の原因
妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発症するか見つかった糖代謝異常のことです。
糖代謝異常とは、血糖値は基準よりも高いが糖尿病と診断されるほどではない状態のことです。
妊娠中はわずかな高血糖でも胎児に影響を与えるため、糖尿病ではなくても「妊娠糖尿病」と呼びます。
妊娠中はお腹の赤ちゃんにもブドウ糖を供給する必要があるため、胎児が大きくなるに従って胎盤からインスリンの働きを抑えるホルモンが分泌されたり、インスリンを壊す酵素が作られ、血糖値が上昇しやすくなってしまいます。
糖尿病でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。